いつか転職するかもしれない。そのときに、確実なスキルの証明書となるのが「資格」です。
しかし資格さえ取得すれば、転職はうまくいくと、盲目的に信じすぎていませんか。実は資格さえ取れば、転職がうまくいくというのは大きな間違いです。
転職活動をしながら資格の勉強は、なかなか時間がなくて難しいものです。今のうちから準備することをおすすめします。
そこで今回は、限りある時間を有効に使い、転職を成功させるためにも、転職のプロがおすすめする、転職に有利な資格をご紹介。また、資格習得による転職成功のポイントをご紹介します。
目次
転職で資格は有利になるのか?
「資格を取っておけば、転職が有利になる」
それはけっして間違いではありません。
採用担当者は30秒~40秒で応募書類に目を通すから。つらつらと記載された文章よりも、端的に記載された「資格」は印象を強く与えられるからです。
一方で、逆に不利になることもあります。その線引は、転職したい職種や業種によって変わります。
例えば、経理の仕事に就くために簿記の資格を取得したなどは、就きたい職種に関連する知識や技術が、客観的に評価でき、転職活動に有利にはたらく場合が多いでしょう。
一方、秘書になりたい人が色彩検定や栄養士の資格を持っていても、採用の上で重宝されないことは明らかです。
どんな資格でもいいから、とりあえず取っておけば転職に有利になる、ということはありません。
まずは転職したい職種や業界を決定した上で、必須の資格や評価される資格を確認したほうがよいでしょう。
今のキャリアをさらに活かす転職におすすめ資格
全くの未経験の分野ではなく、今のキャリアを活かすための資格を業界別にご紹介します。
業界を問わずおすすめの資格
TOEIC・TOEFL
英語力を図るために重要視されるテストです。
採用時に評価される点数のラインは、TOEICだと600〜800点以上、TOEFLだと213点以上と言われているので、それ以下の場合はアピールポイントにはならない可能性があります。
日本企業に転職するならTOEIC、外資系企業に就職するならTOEFLを受けるのがおすすめです。
《受験料》
TOEIC 5,725円
TOEFL 230ドル(テスト日の7日前までの申込の場合)
経理系
日商簿記検定2級
簿記に関する知識について、「株式会社の経営管理に役立つ」レベルを持つことを証明する資格です。
財務諸表が読めるなど、大手・中小問わずに経理面に強いことが証明できるほか、営業職などでも数字に強いことが証明できる、汎用性の高さがポイントとして挙げられます。
商業簿記と工業簿記の二種類を勉強する必要がありますが、合格率は70%以上と比較的高めです。
しっかり勉強すれば数ヶ月の勉強で取得することも可能です。短期間で有効な資格取得を狙いたい人にもおすすめです。
《受験料》
4,630円
事務系
MOS(Microsoft Office Specialist)
ExcelやWord、PowerPointなどのマイクロソフトオフィスのスキルを証明するための資格です。
ExcelなどのほかAccessやOutlookなど、ソフトに合わせて計5種類の資格が用意されていますが、一般的にはExcelやWord、PowerPointの3つを持っていれば、転職活動時に十分アピールできます。
Excel・Wordについては、一般レベルのスペシャリストと、上級レベルのエキスパートの2種類があります。
短期で取得したいのであればスペシャリストを、時間をかけても、よりパソコンスキルを強くアピールしたいのであればエキスパートを受験するのがよいでしょう。
《受験料》
- スペシャリスト
Word・Excel・PowerPoint 各バージョン2013 10,584円 - エキスパート(※)
Word 2013 エキスパート Part1・Part2 各10,584円
Excel 2013 エキスパート Part1・Part2 各10,584円
※Part1と2それぞれに合格する必要があります。
医療・介護業界
介護初任者研修
介護に必要な基本的知識を持っていることを証明できます。
以前はホームヘルパー2級と呼ばれていた、介護士に欠かせない資格です。
多くの介護施設では、介護初任者研修の取得を就職の最低条件に挙げています。
訪問介護員になるための必須資格ととして挙げているところも多いので、介護業界でさらなるキャリアアップを目指すなら、ぜひ取得しておきましょう。
《受験料》
養成機関によって異なりますが、60,000円〜150,000円程度が相場です。
金融・不動産・保険業界
ファイナンシャルプランナー
ライフプランの設計や資産運用、不動産や相続など、お金に関するさまざまな知識を有していることを示す資格です。
特に1級は、起業できるレベルのファイナンシャルプランニングの知識を持っていることが証明できるため、キャリアアップとしてはもちろん、未経験でも転職に有利な資格と言えます。
《受験料》
- 3級 学科と実技:6,000円(税抜)
- 2級 学科と実技:8,700円(税抜)
- 1級 実技:20,000円(税抜)
未経験でも転職を有利にしたい人におすすめな資格
経理・事務系
秘書検定
秘書に必要とされる幅広い知識やビジネスマナー、技能を持っていることが証明できる検定です。
「秘書」と名前がついていますが、ビジネスシーン全般で使える、幅広いビジネススキルを網羅した検定内容なので、業種を問わず、事務系全般で使える資格といえます。
履歴書に書きたいなら、2級はとっておきたいところです。
《受験料》
- 1級 6,100円
- 準1級 4,900円
- 2級 3,800円
- 3級 2,600円
- 準1・2級 8,700円
- 2・3級 6,400円
医療・介護業界
医療事務
レセプト業務や医療従事者のサポート、カルテの管理など、医療機関の事務員として働くために必要な知識を有していることを証明できる資格です。
「医療事務」には、歯科や調剤など、いくつか種類があります。
まずは以下3つを押さえておくと良いでしょう。
- メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)
- 医療事務管理士技能認定試験
- 診療報酬請求事務能力認定試験
病院だけでなく、検診センターや損害保険会社、健康保険組合など、幅広い職場で活用できます。病院を始めとした医療機関は、どの地域にもありますから、パートナーが転勤族の人などにもおすすめしたい資格です。
《受験料》
受講形態によって異なりますが、40,000円〜120,000円程度が相場です。
歯科助手
歯科医の助手として、受付から診療のお手伝いまで幅広く対応できる知識を有していることを証明できる資格です。
歯科医は全国的に増加傾向にあるため、医療事務同様、就職先に困りにくいというのが大きなポイントとして挙げられます。
未経験での取得者も多く、通信講座でも十分習得が可能なので、子育て後の働き口を探している人にもおすすめです。
《受験料》
- 3級 4,200円
- 2級 5,300円
- 1級 6,300円
金融・不動産・保険業界
宅地建物取引士
「宅建」とも呼ばれる資格で、主に宅地の売買や取引などを行うために必要な国家資格です。
不動産業界ではこの資格を持つ人しか携われない仕事も多いほか、不動産業を経営するにあたり、従業員の5人に1人の割合で、必ず宅地建物取引士を置かねばならないという法律もあるため、未経験でも転職に有利にはたらいてくれる資格と言えます。
《受験料》
7,000円
証券外務員資格
有価証券の売買など、金融商品の勧誘の際に必須とされる資格です。
金融だけでなく、財務や経済に関する幅広い知識を身につけることができるので、活用の幅が広いのが大きなポイントとして挙げられます。
財務や金融の仕事は、比較的収入も高いので、キャリアアップとともに年収アップを目指したい人にもおすすめの資格です。
一種外務員資格試験と二種外務員資格試験がありますが、未経験で金融業界への転職を目指すなら、二種で十分です。
《受験料》
どちらも8,704円(税込)
資格で転職を成功させるためのポイント
資格取得を目標にしない
転職における資格取得は、転職活動を生きぬくための武器の一つです。
武器を得ることが目的になってしまうと、本来の目的であった転職活動がおろそかになったり、失敗したりする可能性が高くなります。
その職に就くために必須の資格でないかぎり、転職において資格とは、あくまでも一つの武器です。
必須ではない資格取得のために時間を費やすなら、未経験でも経験が積める会社に転職したり、今の職場で実績を積んだりするほうが、結果的に転職活動の成功につながるはずです。
資格取得はあくまでも手段(武器)であることを、しっかり認識して転職活動に臨みましょう。
目指す職種に本当に必要な資格を見極める
転職のために資格を取得するなら、まずどんな仕事に転職したいかを考え、希望の職種や業界で本当に必要なものだけを取得しましょう。
「持ってさえいれば有利になる」という資格はありません。
転職活動に有利にならない資格を取るために労力や時間をかけるのは、転職活動を長引かせるだけでなく、機会損失を生むことにもなりかねません。
転職のためにこれから資格を取ろうと思っているなら、希望する職種や業界で本当に役立つのかを、今一度精査しましょう。
まとめ ~将来に必要な資格を狙ってとろう
ここまでさまざまな資格をご紹介してきました。
たくさん取得することは、けっして悪いことではありません。
しかしながら、取得した資格をすべて記載してしまうと、「趣味のように資格を取得しているのでは……?」と企業の担当者から思われ、逆にマイナス評価をされることももあります
そんな誤解をされないよう、しっかりと将来の自分に必要な資格はどれか見定めてから、資格取得をしていきましょう。いざ転職活動をするときに、「資格」という強いミカタがいると、きっと心強いと思います。